令和7年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。会員の皆様ならびに関係省庁、関係団体の皆様には平素より、日本金型工業会の活動に格別のご支援とご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
昨年は、大規模地震や極端な気象による豪雨や洪水などの気象災害が発生し、高まる自然災害リスクを改めて認識させられる一方で、ウクライナ、イスラエル・パレスチナの紛争状況や変貌する政治体制や国際秩序など 先行きが見通せない地政学・政治的リスクが露になった一年でした。これらの環境変化に加えて、産業界では、グローバル化、デジタル革命、
少子高齢化の進行による労働力不足、生産性と賃金水準向上の両立など まさに大転換期を迎えており、そのトレンドに素早く、かつ柔軟に先回りして対応できる企業が生き残れる時代と痛感しております。工業会では、そのような厳しい環境にあっても、「金型業界は、多くの社会課題やお客様のお困りごと解決のツールを提供できる持続可能な企業集団」として、社会的な使命感を胸に、会員相互のネットワークとシナジーを高め、研鑽を深めてまいりました。
さて、今年の干支は、乙巳(きのとみ)です。「乙」は未だ発展途上の状態を表し、「巳」は植物が最大限まで成長した状態を意味し、この組み合わせは、これまでの努力や準備が実を結び始める時期を示唆しているそうですが、転じて、実りの時期はさまざまなことから、常に発展途上である意識を持って、絶えず仕掛けることの重要さを述べたものと解することも
できます。報道などを見ると、令和7年もメガトレンドは変わらず、主要顧客の自動車産業の構造変化など 企業を取り巻く環境は、依然厳しいものがありますが、このようなVUCA時代を生き抜くためには、積極的に仕掛けることがとても大事と思う次第です。
そこで、私の新年の抱負として、“「稼ぐ力」と「ワンボイス」で積極的に仕掛ける” を
掲げました。
「稼ぐ力」は、付加価値を生み出す力とされるのが一般的ですが、それを「成長戦略」と置き換え、「商品企画開発力アップ」「業界の魅力度アップ」「価格交渉力アップ」「市場拡大施策の推進」などのキーワードから、皆さまと議論を進めていければと考えています。たとえば、商品企画や開発面では、ビックデータの収集・分析の活用、個社の技術力強化にとどまらない産学・数社連携のオープンイノベーションやシナジー連携などもこれにあたります。
また、一昨年に日本金型工業会より発信した「金型取引ガイドライン」は、公正取引の政府指針もあり、関係先様から理解を得られるものになりました。これを緒とした「ワンボイス」活動ですが、今年は、更に時代の流れに則したコンプライアンスや経済安全保障の観点、関係先様との共存共栄・イコールパートナーシップの考えの下、引き続き推進していく所存です。
一方で、これからも金型業界が変わらぬ社会的使命を果たす企業集団であり続けるには、何よりも人財力の結集があっての賜物です。一人ひとりが、ワクワクする魅力ある業種で
ヤリガイ感、働きがいをもって仕事に従事している、こんな姿を目指していきたいと考えています。そこで、工業会では、教育プログラムの更なる充実や個性ある支部活動を通じて
「人づくり」に尽くしてまいります。
最後になりましたが、本年も会員企業の皆様ならびに関係省庁、関係団体の皆様の
なお一層のご指導、ご鞭撻を賜ります様、お願い致しますとともに 皆々様の益々のご発展、ご健勝を祈念して、年頭のご挨拶とさせていただきます。