年頭所感
一般社団法人日本金型工業会
会長 小 出 悟
平成31年の新年を迎えるにあたり、会員の皆様を始め関連官公庁、関連団体の皆々様に謹んで新春のお喜びを申し上げます。
日本の経済はリーマンショック後10年を過ごし、それ以前の水準には回復していないものの概ね順調に推移し本年を迎えるに至りましたが、米国発の貿易摩擦が中国を始めとし、世界経済に影響を与え始め、日本経済にも影を落とし始めたことは一つの不安材料であり、不測の事態を想定しながら慎重な舵取りが要求される状況でもあると考えます。
また、労働力不足問題に目を向ければ、今後の日本経済にとって避けて通れない出来事であるといわざるを得ず、この問題には作業者レベルの不足と、中核人材者の不足という二つの問題があり、前者の問題はまさに昨年の後半で外国人技能実習生制度をめぐり国会でも激しい議論がなされ、具体策が検討され始めたことは改善に向かう一つの現われだと認識いたしますが、問題は中核人材の確保問題に有ると私は考えます。
このような現状を踏まえ日本の金型業界を代表する一般社団法人日本金型工業会としてどう対処するのか、一つには一昨年スタートした金型マスター認定制度の更なる進化を追及することがあります。本年は二次募集を計画する年と位置づけており、一次募集にて認定されたマスター認定者71名にも深く参画していただきながら、金型業界の次代を担う人財作りに取り組みたいと思っております。
昨年も新聞、テレビなどでも数多く採り上げられたAI、IoT、ロボット技術に関し、当工業会としても積極的に取り組み、会員企業各社の省人化、効率化のお手伝いが出来るよう努力したいと思うと共に、新時代・新技術をマスター認定者が率先し道を開き、その事実を受け会員会社の従業員の方々にも影響が及ぶような存在と成ることが私の悲願でもあります。また、そのような人財があまた出現すれば日本金型工業会としての素晴らしい広告塔にもなりえます。
広告といえば当工業会の広報委員会でも新たな取り組みがなされ始めました。新しく作成した第二弾のDVDを日本各地の教育の現場など広く広報活動を行い、金型業界の存在を会員自らが未来の社会人に広く周知させるため、様々な検討を加えながら実行して頂き、将来的有力な人材確保の手段となるように会員の皆様にはご協力をお願いしたいと考えております。
2014年には「新金型産業ビジョン」を工業会にて作成し、会員企業様にもご努力していただいているところではありますが、本年でビジョンも5年目となり時代の変化を加味する必要があると考えます。経済産業大臣の肝いりにより2016年の9月に世耕プランが発表され、指導されたことはご存知かと思いますが、その一つの好影響とし代金支払いの現金化が現在進んでいます。公の支援はさらにお願いするとしても、新金型産業ビジョンを意識しながら自らも、変化する新時代を先行するような大胆な提案たる行動指針を作成し、発信できればと考えております。出来うる限り会員企業様すべてに当てはまり参考としていただけるような、幾種類かの指針を多年に亘りながらも打ち出せれば幸いであると思いますが「言うは易く行うは難し」です。まずはその初年度として本年は皆様へのアンケートなどをとりながら、ワーキンググループを構成し進めて行きたいと思います。今年は新たな元号が発表されます。どのような未来が来るのかは誰にも分からないからこそ一致団結し、会員企業の皆様のお力添えはもとより、関連官公庁、関連団体の皆様のご協力も得ながら、じっくりと進めていく所存でいますので、皆様のご理解ならびにご指導ご鞭撻の程お願い申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。