平成24年度事業計画
(平成24年4月1日から平成25年3月31日まで)
1.基本方針
日本の金型産業はリーマンショックに端を発した世界同時不況により大打撃を受け、その後も金型需要業界である各量産部品業界が回復を見せる中、金型だけが回復の兆しもなく苦しんでいる状況で、昨年の3.11東日本大震災、さらにタイの大洪水、円高と立ち直る機会も無く厳しい状態が一方的に続いている。
戦後、日本の金型産業は高度成長とともに、大量に作れば売れた昭和の時代の申し子として発展してきた。すなわち日本のマスプロダクションの要として日本の発展に貢献してきた。
しかし、平成の時代とともにグローバル化の大きな流れの中で、金型の需要産業は海外に移転、金型も現地調達、それに伴う国内金型需要の激減という状況に陥っている。
これを金型産業の生産高動向で見ると平成3年がピークで1兆9,500億円と約2兆円、その後いくつかの上下動を繰り返しながら下降状態で世界同時不況を迎え大きく落ち込み、平成21年では約1兆1,500億円とピークの4割減となっている。
一方、事業所数は約12,800事業所から約9,600事業所、労働人口は約11万人から約9万人と減少しているものの需要減に見合う供給レベルに至っていない。
また、その間の生産設備の高度化の影響を考慮すると、逆に供給能力は増加していると考えられ、需要に対して供給能力が大幅に上回る状況は改善されていないとの認識を持つべきである。
そのような現況で日本の金型産業、各会員企業、業界団体はどうすべきか。
社団法人日本金型工業会の「金型産業ビジョン」では、「金型技術をコア技術とした新しいものづくり企業」を目指すための将来に向けた3つのキーワードとして「①営業力(提案力)」「②海外展開」「③新たな分野への事業展開」を掲げ、その3つのキーワードをサポートする新たなキーワードとして「④(グローバル)人材育成・人材確保」「⑤技術研究開発」を加えている。
平成24年度は日本の金型産業の正念場として、金型産業ビジョンで掲げている5つのキーワードに対応した会員サービス事業を提供するとともに、グローバル化の怒濤の流れの中で日本の金型産業の方向性について業界全体の共通認識として検討を行う。
また、社団法人日本金型工業会の団体運営に関しても、平成25年度の一般社団法人移行準備を進めるとともに、業界縮小傾向の状況で会費収入も激減していることから、団体運営規模の縮小も平成24年度より着手しなくてはならない。